塗料が地球環境で問題になる!VOCについて解説
VOCとは何か?
地球環境問題が広く注目されているようになりました。
その中でも今後の課題の一つとして、大気汚染があります。
大気汚染の問題としていまだに深刻なのが、浮遊粒子状物質や光化学オキシダントを要因とするものです。
浮遊粒子状物質は私たち人間の健康へ悪影響をもたらしますし、光化学オキシダントによる健康被害もいまだに数多く報告されています。
特に光化学オキシダントは1960年代ごろに社会問題化した四日市ぜんそくの原因物質になっています。
これらの原因物質としていろいろなものが挙げられますが、VOCもその中の一つです。
VOCとは「volatile organic compounds」の頭文字をとったものです。
揮発性有機化合物と日本語では訳されます。
待機中では気体状となる有機化合物のことで、トルエンやキシレン、酢酸エチルといった様々な物質がその中に含まれます。
VOCの排出を抑制して、環境悪化を防ぐ取り組みは国を挙げて進められています。
環境省では自動車の炭化水素の排出規制を進めるなどの施策を講じています。
実はこのVOC問題、塗料も決して他人事ではありません。
溶剤に含まれるVOC
塗料の中には溶剤が含まれています。
油性塗料の中にはシンナーなどの有機溶剤が使われています。
揮発性を持っているので、使用すると大気中に放出されてしまいます。
このVOCは大気中に放出されると、光化学反応によって光化学オキシダントを生成する触媒の働きをしてしまいます。
気候変動や生態系の破壊などをもたらすとして懸念されています。
塗装工事の際に具合の悪くなってしまう人がいます。
具合の悪くなる事例を油性塗料と水性塗料で比較した場合、圧倒的に前者を使っている場合が多いです。
油性塗料の場合、シンナーを使って希釈しているからです。
塗装工事をしている際にシンナーを吸い込んでしまい、いわゆるシンナー酔いを起こしてしまいます。
その結果、シンナー中毒により具合が悪くなってしまうのです。
水性塗料の場合、希釈するのにシンナーは全く使われていません。
ですからシンナー中毒のような症状を引き起こさないのです。
またVOCの含まれている塗料を使って施工した場合、いわゆるシックハウス症候群を住民が発症してしまう危険性もあります。
VOCはただ単に環境を破壊するのではなく、そこに住んでいる人の健康被害を及ぼす危険性もあるわけです。
ですから取り扱いには細心の注意を払う必要があります。
他にも環境問題を起こす恐れのある塗料も
ほかの塗料の中にも環境面で悪影響を及ぼす危険性のあるものも見られます。
例えば塩素ゴム系塗料です。
主に橋脚などの鋼構造物用に使われてきた塗料で、ポリ塩化ビニールが可塑剤として使われています。
しかしこのポリ塩化ビニールが問題で、土壌や水を汚染してしまう恐れもあります。
さらに有機スズ系塗料は選定に使われることも珍しくありませんが、こちらも生態系にマイナスの影響をもたらすといわれています。
有機スズ系塗料は船底に使うことが多いです。
船底にはフジツボやイガイ、藻類などが付着してしまうことがあります。
これをそのままにしていると抵抗が増してしまって、船をスムーズに推進することが難しくなってしまいます。
これを防ぐために有機スズ系塗料が用いられるわけです。
しかしこちらの塗料には有害物質が含まれているので、問題視されるようになりました。
例えば巻貝がこれらの有害物質を体内に取り込んでしまうと、繁殖障害を起こす懸念があるといわれています。
世界中で規制が開始されているVOC
VOCの問題はすでに世界中で取り組まれています。
1990年代ごろから海外ではVOCの排出量に関する規制が開始されました。
1990年にアメリカで大気清浄法が改正されましたし、EUでもガソリンからのVOC排出を抑制する理事会指令が1994年に出されました。
さらに1999年にはEUで「ヨーテボリ議定書」と呼ばれる、有機溶剤によるVOCの排出規制が採択されています。
こちらの議定書では2010年までに1990年と比較してVOCの排出量を約60%削減するという目標が掲げられました。
2011年の段階でEUの加盟国の多くがこの削減目標に到達しています。
このように塗料でVOCの排出量を以下に抑制するかが、今後の課題になってくるでしょう。
そこで注目されているのが、水性塗料です。
水性塗料は溶剤としてシンナーなどのVOCを使っていません。
耐久性という部分では油性塗料と比較して若干劣ります。
しかし健康や環境への栄養が小さいということで、水性塗料を油性塗料に代行塗料として注目を集めています。
これから住宅を建設したり、外壁塗装したりする場合には環境面でのケアも意識した方がいいでしょう。
花房塗装では、環境や健康面の配慮した外壁塗装にも柔軟に対応しています。
もし外壁塗装について相談したいことがあれば、お気軽にご連絡ください。
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